今日全てが分かる!ケトジェニックダイエットの全貌とは

  • 「ケトジェニックダイエットに挑戦してみたい…」
  • 「そもそもケトジェニックダイエットには効果があるの?」

そのような疑問を持つ方に向けて、この記事を書いています。今回は昨今話題となっている「ケトジェニックダイエット」について、基本的内容から応用的内容まで、医学的かつ網羅的に解説していこうと思います。

ケトジェニックダイエットとは?

まず初めに、あなたは「ケトジェニックダイエットとは?」と聞かれた時に、どのようなダイエット法か、正しく答えることができますか?「いやいや、それが答えられたら、この記事見てないわ!」という感じですよね(笑)

ケトジェニックダイエットとは簡単に言うと、糖質(炭水化物)を制限し、代わりに脂質を摂取する食事療法ダイエットのことです。一般的に言われる「糖質制限ダイエット」の一種と考えてもらえれば、分かりやすいと思います。

ケトジェニックダイエットの特徴は、体内でケトン体という物質が、通常より多く生合成されることです。「ケトジェニック」という名前は、このケトン体という言葉から来ています。
ここで「なんでケトン体が増えるの?」という疑問が出てくると思いますが、それを解決するためには、まずヒトの代謝経路について理解する必要があります。

ケトン体とは?

ケトン体とはβ-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、アセトンの総称のことで、肝臓で生成されます。肝臓以外の臓器でエネルギー源として利用されます。

ケトン体が生成される理由

私たちの体は多くの場合、糖質(炭水化物)という栄養素をエネルギー源に活動しています。糖質が使われるシステムの事を「解糖系」と言い、必要以上の糖を摂取すると、「グリコーゲン」という形で体に貯蔵するシステムも備えています。さらに、使い切れなった分の糖質はインスリンの作用で中性脂肪となり蓄積されます。このようにわたし達の体では、糖質をエネルギーとして使うシステムが充実しています。

しかし、糖質が体内で枯渇すると、糖質の代わりに脂質やタンパク質がエネルギー源として使用されます。脂質がエネルギー源として使用される際に出てくるのがケトン体という物質です。このケトン体は主に肝臓で生成され、各臓器においてエネルギー源として使用されます。

「糖質が体内で枯渇する」という状況を意図的に作りだし、脂質を多く摂取することで、脂質をエネルギー源として利用しようとしているのが、ケトジェニックダイエットです。

注意: ここでの脂質とは食事由来の物も多く、「脂質=体内に蓄積されている脂肪」ではないことに注意が必要です。

効果:減量効果あり

ダイエットに関する記事で、皆さんが最も知りたいのは、何と言ってもその「効果」だと思います。多くの人にとって、ケトジェニックダイエットは効果のあるダイエット法である事が分かっています。

被験者が少なく健康な人ではないのであくまで参考程度ですが、実際にケトジェニックダイエットにおいて、どのくらいの減量効果があったのか、具体的な数値を調べた研究があります。2型糖尿病である11人の女性に対し90日間ケトジェニックダイエットを実施したところ、実施前後で平均体重が、85.7kg→76.7kgに減少しました。平均で9kgの減量効果が認められたという事です。

具体的な方法:炭水化物の摂取量を20~40g程度に制限

次にケトジェニックダイエットの具体的な方法について説明していきたいと思います。
現在、ケトジェニックダイエットは1日の炭水化物の摂取量を20~40g程度に制限する食事と定義されています。40gの炭水化物というと、おにぎり約1個分ほどです。かなり厳しい糖質制限をしなくてはいけない、という事が分かると思います。また、1日のタンパク質摂取量は体重1㎏あたり1.2~1.5gを目安とし、残りのエネルギーを脂質から摂取します。結果として、カロリーの60~80%程度は脂質由来となります。

メリット

体重減少効果

何と言っても最大のメリットは体重減少効果だと思います。ケトジェニックダイエットに関する研究の多くは、体重減少効果が認められるとの結論を出しています。もちろん個人差はありますが、一定の効果が認められています。

満腹感の持続

ダイエットというと厳しい食事制限が付き物だと思います。過去のダイエットで「お腹がすいた…」という思いをした方は多いのではないでしょうか。ケトジェニックダイエットは、糖質を制限するというある程度の食事制限は必要ですが、食べる量を極端に減らす訳ではないので、満腹感が得られるダイエット法です。さらに、脂質を多く取ることで、満腹感が持続するとも言われています。

デメリット

肝臓への影響

まずは肝臓への影響です。一部研究からケトジェニックダイエットにより、コレステロールの上昇と非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)になる可能性が示唆されています。

ケトン臭

糖質制限は過度にやればやるほど、体臭や口臭がきつくなると言われています。においの正体は「ケトン体」です。ケトジェニックダイエットではケトン体が大量に生合成されますが、このケトン体が増えると、なんとも言えないようなツーンとした酸っぱい臭いがすることもあるのです。

死亡率の上昇

糖質制限が長期的にどのような影響を与えるかを調査した研究があります。その研究から糖質制限において、糖質の代わりに、動物性のタンパク質や脂質を多く摂取した場合は死亡率が約20%増加することが明らかになりました。一方で、糖質の代わりに、植物性のタンパク質や脂質を多く摂取した場合には、死亡率が約20%低下することが明らかになりました。

他の食事系ダイエットとの比較

ケトジェニックダイエットが他のダイエット法と比べて、どのくらい効果があるのか具体的な数値をもとに比較していきたいと思います。低糖質食、低脂質食、地中海食を食べるグループに分け、2年間それぞれの食事を続けた結果、どの程度の減量効果が認められたかを調査した研究があります。その研究では、それぞれの平均減量数は以下のようになりました。

低糖質食ダイエット-4.7kg
低脂質食ダイエット-2.9kg
地中海食ダイエット-4.4kg

この研究から、低脂質ダイエットよりも、ケトジェニックダイエット(低糖質食)の方が減量効果が認められることが明らかになりました。また、地中海食に関してもケトジェニックダイエットと同じくらいの減量効果が認められることが分かりました。

まとめ

ケトジェニックダイエットには一定の体重減少効果が認められています。しかし、デメリットがある事も忘れてはいけません。ケトジェニックダイエットだけに限りませんが、メリットとデメリット、正しい知識を理解した上で、実践していくことが大切ですね。

主な参考文献

ケトジェニックダイエットがヒトの健康に及ぼす影響について  山本祐司

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