人間ドックを選ぶ際、絶対チェックすべきポイント5選

Wellnessの予防プログラムの重要なパーツの一つとして、『人間ドック』が挙げられます。人間ドックは通常の健康診断と異なり、がん検診や脳MRI検査、超音波検査など検査の種類が豊富で、より幅広い病気の早期発見に繋がるというメリットがあります。一方、検査機関によってプランの内容やオプション検査が異なり、『どれを選べば良いか分からない』と感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、人間ドックを検討している方が必ずチェックして欲しい5つのポイントについて解説します。

人間ドックを選ぶ時の注意点①:ピロリ菌検査の有無と種類を確認する

検討中のプランに『ピロリ菌検査』が含まれているか確認しましょう。

ピロリ菌(H.Pylori)とは、ヒトの胃に生息する細菌で、胃がんや胃潰瘍のリスクとなるものです。主に幼少期に感染します。感染期間が長いほど胃がんの発症リスクは高まるため、出来るだけ早いうちに検査を受け、感染している場合には『除菌治療』を受ける必要があります。

今まで検査をしたことがない人は、選択予定のプランにピロリ菌検査が含まれているか確認し、ない場合にはオプションで選択するのが良いです。

また過去に除菌治療を受けている方がチェックしたい場合は、抗体検査以外の検査(尿素呼気検査や便中抗原検査)を選択するようにしましょう。抗体検査では、過去の感染があった人でも陽性になってしまうためです。

胃がんは日本人の死因の多くを占める疾患です。検査歴がない方は、必ずチェックしましょう。

人間ドックを選ぶ時の注意点②:動脈硬化検査の有無と種類を確認する

動脈硬化に関わる検査としては、『動脈硬化のリスクを判定するための検査』と『現時点での動脈硬化進行具合を評価するための検査』の2種類が存在します。

動脈硬化のリスクを判定するための検査‘としては、『血圧測定』『コレステロール検査』『血糖検査』といったものが挙げられ、これらは通常の人間ドックには含まれています。より精密な検査として最近では、sdLDL(超悪玉コレステロール)や1,5-AGといった項目が含まれている場合もあります。過去の健康診断で異常を指摘されている場合、高LDL血症や糖尿病の家族歴がある場合、心筋梗塞や脳卒中の既往・家族歴がある場合などは、より精密な指標をチェックすることも検討しましょう。

‘現時点での動脈硬化進行具合を評価するための検査’としては、『頸動脈超音波検査』『胸腹部CT検査』『ABI/PWV検査』などが挙げられます。例えば頸動脈超音波検査では脳梗塞のリスク、ABI/PWV検査では閉塞性動脈硬化症のリスクなどが判定できます。血圧やコレステロールの高値を指摘されたことがある方や気になる自覚症状がある方、家族歴がある方は追加を検討するといいかもしれません。

心筋梗塞や脳梗塞は現代人の死因の大部分を占め、奇跡的に一命を取り留めたとしても余生のパフォーマンスに大きな影響をきたす疾患です。確実な発症予防と早期発見のため、ご自身の健康状態に合った検査プランを組みましょう。

人間ドックを選ぶ時の注意点③:自分に必要十分ながん検診を意識する

人間ドックの大きな目的の1つとして、『がんの早期発見』が挙げられます。がんと言っても種類は様々ですが、特に気をつけるべきは、『頻度の高いがん』と、『リスクが高いがん』です。

『頻度の高いがん』としては、肺がん・胃がん・大腸がん等が挙げられます。他に最近では、膵臓がんの罹患数・死亡数が増えています。その他、男性では前立腺癌が多く、女性では乳がん子宮がんが多くなっています。比較的若年層では、男性なら精巣がん、女性なら子宮頸がんにも注意が必要です。

『リスクが高いがん』に関しては、当然一人一人異なります。今までかかった病気(既往歴)や家族歴、飲んでいる薬・サプリメント、飲酒・喫煙習慣の有無、体型、食生活、運動習慣など、様々な要因でがんのリスクは変化します。

例えば食物繊維が少ない食習慣で運動もしない方であれば大腸癌のリスクが高くなりますし、肥満の方や高身長の方では膵臓がんのリスクが高くなります。HPVワクチンを打っていない女性の方では、子宮頸がんのリスクが高いです。

ご自身の年齢や健康状態から頻度/リスクの高いがんを把握した上で、適切な検査を選択することが求められます。

人間ドックを選ぶ時の注意点④:腫瘍マーカーに頼り過ぎない

リキッドバイオプシー検査とは、主にがんの領域に置いて、血液や尿などの液体サンプルを使って診断や治療効果判定を行おうという技術のことです。組織を直接取って顕微鏡で調べる検査(生検)と異なり、身体への侵襲が少ないことがメリットになっています。『腫瘍マーカー』などが有名で、人間ドックのオプション検査としてもよく出現します。最近では尿サンプルからがんリスクを測定するベンチャーなども多数出現しています。

ただし腫瘍マーカーはスクリーニング・早期発見に優れたマーカーではなく、本来は治療効果の判定などに利用されるものです。男性におけるPSA(前立腺癌マーカー)測定などはスクリーニングとして一定の効果は期待できますが、多くの項目を闇雲に測定してしまうと後で後悔することもあります。

例えば大腸癌や胃がんなどで上昇するCEAは喫煙でも上昇することがありますし、膵臓癌などで上昇するCA19-9は糖代謝異常に伴って上昇するケースがあります。これらの注意点を知らずに測定し異常と判定された際は、改めて病院を予約して精密な検査を受ける必要が出てきます。

腫瘍マーカーは低侵襲で検査をできるというメリットはあるものの、偽陽性や偽陰性も多い検査であることに注意しましょう。特に時間のないビジネスマンでは、人間ドックの際に胃カメラや胸部CT検査などリスクに応じてより精密な検査を受けてしまった方が効率が良い可能性があります。

『オプションはとりあえず全部追加しておく』といった安易な発想にならないよう注意しましょう。

人間ドックを選ぶ時の注意点⑤:PET-CT検査に頼り過ぎない

PET-CT検査には全身を一度に調べられる・予想外の部位のがん発見に繋がるといったメリットがあり、主に高級人間ドックなどでおすすめメニューとして提示されることも増えています。しかし、注意点についてもしっかり抑えて起きましょう。

まず、PETで発見されるがんは1cm程度を超えたがんとなります。このため、小さい段階のがんの発見にはすぐれません。日本人に多い胃がんや肺がんにおいては、胃カメラ検査や胸部CT検査よりも発見率は低くなります。また、腎臓がん、前立腺がん、膀胱がんなどもその特性上、PETが苦手とするがんです。また、放射線被ばくを伴うことも覚えておきましょう。

PETは全身の簡易的なスクリーニングには優れますが、リスクの高い特定臓器のがんを調べる際には不向きです。『PETをやっておけば大丈夫』と過信せず、自身の健康リスクに対して最適な検査を選びましょう。

まとめ

人間ドックを受けるといっても、プランの内容は施設によって様々です。人間ドックは自由診療のため、金額が高ければ安心という訳でもありません(新しくて費用は高いがエビデンスの低い検査や、施設の高級感だけで料金が上がっているケースもあります)。

人間ドックを受ける目的は、『現状を網羅的に把握し、将来に向けた適切な予防プランを立てる材料にすること』です。ご自身の課題やリスクを整理した上で、正しい検査を選択しましょう。

網羅的。快適。安心。- パーソナライズされた予防ケア 『Wellness』

待ち時間の長すぎる病院や、ネット上に溢れた多すぎる健康情報にうんざりしていませんか? Wellnessでは、専属のパーソナルドクターがあなたの健康改善を最適化。現状の課題や将来リスクを明確化し、最短で理想のライフスタイルに導きます。

Wellness の詳細はこちら