昨今、24時間ジムを中心に多くのフィットネス事業が展開されています。仕事帰りや、買い物帰りなどにジムに行かれる方も増えてきたのではないでしょうか。とは言っても、限られた時間の中で、思うようにトレーニングの時間を確保できていない方も少なくないはずです。トレーニング効果は時間だけではなく、質によっても大きく左右されます。
そこで、この記事では、筋トレの効果を最大限に引き出すために効果が期待できる3つのサプリメントについて紹介します。
①BCAA
BCAAとは分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acid)の略で、バリン、ロイシン、イソロイシンという3つのアミノ酸の総称です。多くのアミノ酸は主に肝臓で代謝されるのに対し、BCAAは主に筋肉で代謝されます。近年、BCAAの効果に関する論文が多く報告されており、その中でも筋トレに関する効果が多く報告されています。今回は現時点で分かっている3つの効果について説明します。
BCAAは筋タンパク質の合成を促進する
BCAAの中でも特にロイシンが筋タンパク質の合成を促進することが分かっており、筋トレ直後に5.6gのBCAAを摂取した場合には、何も摂取しなかった場合と比べて、筋タンパク質の合成が約22%高かったとの研究データ(注1)があります。
BCAAは筋タンパク質の分解を抑制する
筋トレなどの高強度の運動を行うと、筋肉が損傷し、その結果、筋細胞中に多く存在するクレアチニンキナーゼ(CK)が血中に漏出します。BCAAを摂取することにより、筋損傷を評価するCKが減少する事が分かっています。これは、筋タンパクの分解が抑制されたためだと考えられます。
BCAAは筋肉痛を軽減する
普段運動の習慣がない被験者にスクワット運動を行ってもらい、筋肉痛と筋疲労を誘発させる研究で、運動前に4~5gのBCAAを摂取した場合、翌日以降に発生する遅発性筋肉痛および筋疲労感の軽減が認められました。筋肉痛によって翌日以降のパフォーマンス低下を感じている方は、BCAA摂取によって改善する可能性があります。
摂取タイミングは運動前
BCAAの効果には、主に筋タンパク質の合成促進、筋タンパク質の分解抑制、筋肉痛の軽減の3つがありましたが、筋トレ後のBCAA摂取では筋肉痛軽減効果が認められないとの報告があります。そのため、これら3つの効果を得るためには、筋トレ前にBCAAを摂取することをお勧めします。
②クレアチン
クレアチンとはアミノ酸の一種で、筋トレなどの短時間高強度の運動時にエネルギー源として使われます。約95%が筋肉内に貯蔵されており、貯蔵量は体重が70kgの人(一般男性)で約120gと言われています。また、最大で160g程度まで貯蔵することができ、体内では、アルギニン、グリシン、メチオニンの3種類のアミノ酸から合成されます。
クレアチンはパフォーマンスを向上する
筋肉を動かすためにはATPというエネルギー源が必要ですが、ATPの量は限られているため、すぐに枯渇してしまいます。そのため、体内でATPを再合成する必要があります。筋トレ時、ATPの再合成に利用される物質のひとつが、クレアチンにリン酸を結合させたクレアチンリン酸です。このため、トレーニング前にクレアチンを筋肉内に貯蔵しておくことによって、ATP(エネルギー源)の再合成がスムーズになり、通常よりも高強度の運動ができると考えられています。
クレアチンは筋肥大を助ける
トレーニング前にクレアチンを摂取すると、前述したパフォーマンス向上効果により、通常よりも高強度でのトレーニングが可能となります。筋肥大の程度はトレーニング総負荷量(重量×回数×セット数)で決まるため、クレアチンによるパフォーマンス向上により追い込む(総負荷量を上げる)ことができることで、筋肥大にも効果があると報告されています。
③βアラニン
βアラニンはアミノ酸の一種であり、カルノシンという物質を作る原料となっています。カルノシンには高強度のトレーニング時に産生される乳酸を中和する役割があります。実際にβアラニンを摂取する事で、筋中のカルノシン濃度が上昇する事が分かっており、トレーニング中の効果について報告した論文も多く存在します。
βアラニンはパフォーマンスを向上する
高強度の筋力トレーニングを行うと、体内では乳酸という物質が産生され筋肉内を酸性にしてしまいます。これが筋肉の収縮を妨げることによって、トレーニング中の筋疲労が起きると考えられています。カルノシンが産生された乳酸を中和する事によってトレーニングによる筋疲労を軽減し、持続的な高強度運動を可能にすると考えられています。
βアラニンは筋肉量を増加させる
βアラニンは筋肉量(除脂肪量)の増加にも効果がある事が分かっています。クレアチンなどと同様に、パフォーマンスの向上に起因するものだと推察されますが、実際に多くの論文で筋肉量の増加が認められています。
まとめ
今回は、BCAA、クレアチン、βアラニンの3つについて紹介しました。どのサプリも筋トレの効果を上げることが科学的に示されています。限られた時間の中でトレーニングをしなければいけない人はこのようなサプリを摂取する事で、さらにトレーニングの質を高めることができるかもしれません。
<参考文献>
(注1)Branched-Chain Amino Acid Ingestion Stimulates Muscle Myofibrillar Protein Synthesis following Resistance Exercise in Humans. Sarah R. Jackman, et al.
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